まだ夢のなか

 夢から覚めきれていないサラリーマンたちは、提示された額が妥当なのか否かの判断もできない。
 ただ、時を同じくして、なぜかライバル企業からヘッドハンティングが電話を掛けてきて、好条件を提示してくる。 年俸制になりますが、今までの年収の倍の額で、うちで手腕を発揮していただけませんか?・・みたいな。
 退職金プラス新会社の年俸・・・目もくらむほどの現金が一瞬目の前に山積みされて、自分の価値がそれほど高く評価されているのか!と、美味しい話に飛びつく始末。
 住宅ローンの返済に残業手当を割り当てていた男たちは、残業時間の短縮ごときで青ざめる始末。
 その後何年かして、ヘッドハンティングされ、会社を辞めた上司が解雇される。
 結局年俸制の恐ろしさをその時初めて味わうのだ。
 ひょっとしたら、提示された年俸の内の何割かは、元いた会社が払っていたかもしれない・・厄介払いのための手数料として