
中間管理職
当時一番楽しいサラリーマンの位置だった。
年収も賞与も、使える経費もたっぷりあり、やりがいも、会社や部下からの信頼も一身に受けているような気分で、世の中は自分が動かしているとさえ錯覚してしまいがちな役職。
(それでいて、実は大した責任を負わなくてよい)
日本社会の中の重要な歯車。
親の言うまま勉強し、学校の勧めるまま進学し、自由を手に入れた大学時代にはサークル活動で友や恋人と楽しく過ごした。
そして、大人になったつもりで、社会という大海原のような気がしていたものの中に飛び込み、将来を有望視されながら自分の地位を築いていったはずだった。
が、それらが崩壊した。
最初は「崩壊」の意味するものが何なのか分からず、いつもの癖でのんびりと辞書を引いている間抜けすらいた。 ・・いや、それしか出来なかったのかもしれない。
わからなかったら辞書を引きなさいと教わってきたのだろう。
今となっては、その行為は間違ってはいない。
慌てて動いても結局は崩壊して、浪間に漂う泡の破片の上でしかなかったのだから。
しかし、いつまでも辞書を引いていたってしょうがない。だれが助けてくれるわけでもない。 親たちは、我々以上にバブル崩壊の意味が分かっていない。
大きな泡がつぶれたなら、自分だけでもバブルを作らなきゃ、みたいなトチ狂ったやからもいっぱいいた。
賢い奴はそろそろ気づく。 自力で泳がなきゃ岸に戻れない・・と。
慌てて資格や免許を取り始める人間が増え始め、専門の学習機関や通信教育の業界がひしめくようになったのもこの頃からだった。